tears [- HEART -]
■ 絶対彼氏。 ■
- HEART -
tears
原作 絶対彼氏。 の最終回直後のリイコちゃんの話。
玄関のチャイムに気づいて、リイコは目を覚ました。泣き腫らした目を擦り、足を引きずるように歩いて玄関を開ける。
「えっ……」
リイコは目を見開いた。
「ナイト……?」
そこに立っていたのは、機能が完全に停止し、クロノスヘブンへ戻された筈のナイトの姿だった。
「リイコ」
でも、ナイトは傷だらけだった。表情も苦しげで、右腕を庇うように左手を添えている。
「どうしたの?」
「帰ってきたんだよ……」
そう言って、ナイトはリイコを抱き寄せた。
「俺……リイコが心配だったから……」
そして、そっとリイコの頬に触れた。とてもやさしい手つきだった。
「だからって……無理して……」
「だって……俺はリイコの彼氏だろ?」
「でもナイト、そんな体で……」
リイコが心配そうにナイトを見上げると、ナイトはいつも以上に優しい顔で笑って見せた。
「リイコの傍に居たいんだ」
「ナイト……でも、また……」
--- え? あたし、何言ってるの? また……って、何?
リイコの頭に言葉が過ぎったとたん、視界に映ったのはテーブルの木目だった。リビングのテーブルに突っ伏して泣いて、そのまま眠ってしまったのだ。
静まり返ったリビング。
薄暗い部屋。
時計の秒針が、やけに大きな音に聞こえた。
テーブルの上には、ナイトと食べようと思って買ってきたプチデザートの入った袋が置いてある。
「そっか……そうだよね……」
これが現実。ナイトは、もう居なくなってしまった。どんなにキスしても、呼びかけても、ナイトは目を覚まさなかった。
リイコは、再びテーブルの上の袋を見た。
--- ナイトと二人で食べたかった。
眠っているナイトを起こして、デザート買ってきたよ、って笑う。ナイトは、興味津々な顔をして袋を覗き込む。そして、おいしそうだね、早く食べよう、って言ってくれるのを想像した。ナイトが喜ぶ顔を見られるのを当たり前に思っていた。
リイコは何気なく袋をあけ、買ってきたデザートを取り出した。ナイトに買ってきた分をテーブルに置き、自分の分をあける。口を重々しくあけ、それを一口食べた。
--- おいしいな、リイコ!
ナイトの笑った顔が思い浮かんだ。
「うっ……うぅっ……」
リイコは、こみ上げてくる涙を抑えることが出来ず、口にしたスプーンを噛んだまま嗚咽をもらした。
「ナイト……ナイトぉ……」
--- なんで、そんなに悲しいの?
そう言って慰めてくれたナイトは、もう居ない。リイコは、静まり返ったリビングで泣き続けた。息が苦しくなるほど泣いて、床には何粒も涙が零れ落ちた。
--- 私、もう一人ぼっちなんだ……。
拭っても拭っても、涙は止まらない。
声を上げて泣いて、胸の痛みを堪えて、息苦しさを飲み込んだ。
--- 俺は、リイコのためだけに存在してるんだ。だから、ずっと傍にいるよ。
ナイト……。
ナイトはそれで、幸せだった?
私のために存在して、私のために傷ついて、私のために自分を犠牲にして。
私がナイトを苦しめてなかった?
こうなるって分かってて、ナイトに「傍に居て」なんて言って……苦しめてなかった?
ナイト……ごめんね?
助けてあげられなくて、ごめんね……?
今度は、私がナイトのために存在したい。
ねえ、だから……わがまま言っていいよ?
だってナイトは、私のわがまま聞いてくれた。
優しい嘘も、ついてくれた。
本当は、嘘をつく方だって、辛かったよね?
私、分かったの。
ナイトへの気持ちが分かったとき、本当の「好き」って、こんなにも深いものなんだ、って。
ずっと、傍に居てほしかった。
ずっと、その笑顔を見ていたかった。
暖かい手で、包み込んでいて欲しかった。
ナイトの笑顔を見るだけで、私は幸せだった。
とても愛しかったの。
ごめんね、ナイト……。
私、きっとあなたを思い出したら、こうやって涙が止まらなくなる。
私はナイトを……誰よりも好きになったから。
ずっと……これからも、胸が痛くなるほど大好きだから。
悲しい涙は辛いけれど、でもナイトのせいじゃないからね。
ナイトの声を聞きたい……。
ナイトの笑顔を見たい……。
そう思うと、涙が止まらないの。
私、愛してるよ。
ずっとずっと……愛してるよ。
だけど今は、苦しくて悲しくて……抑えられない。
涙を抑えられないよ……。
- HEART -
tears
原作 絶対彼氏。 の最終回直後のリイコちゃんの話。
- HEART -
tears
玄関のチャイムに気づいて、リイコは目を覚ました。泣き腫らした目を擦り、足を引きずるように歩いて玄関を開ける。
「えっ……」
リイコは目を見開いた。
「ナイト……?」
そこに立っていたのは、機能が完全に停止し、クロノスヘブンへ戻された筈のナイトの姿だった。
「リイコ」
でも、ナイトは傷だらけだった。表情も苦しげで、右腕を庇うように左手を添えている。
「どうしたの?」
「帰ってきたんだよ……」
そう言って、ナイトはリイコを抱き寄せた。
「俺……リイコが心配だったから……」
そして、そっとリイコの頬に触れた。とてもやさしい手つきだった。
「だからって……無理して……」
「だって……俺はリイコの彼氏だろ?」
「でもナイト、そんな体で……」
リイコが心配そうにナイトを見上げると、ナイトはいつも以上に優しい顔で笑って見せた。
「リイコの傍に居たいんだ」
「ナイト……でも、また……」
--- え? あたし、何言ってるの? また……って、何?
リイコの頭に言葉が過ぎったとたん、視界に映ったのはテーブルの木目だった。リビングのテーブルに突っ伏して泣いて、そのまま眠ってしまったのだ。
静まり返ったリビング。
薄暗い部屋。
時計の秒針が、やけに大きな音に聞こえた。
テーブルの上には、ナイトと食べようと思って買ってきたプチデザートの入った袋が置いてある。
「そっか……そうだよね……」
これが現実。ナイトは、もう居なくなってしまった。どんなにキスしても、呼びかけても、ナイトは目を覚まさなかった。
リイコは、再びテーブルの上の袋を見た。
--- ナイトと二人で食べたかった。
眠っているナイトを起こして、デザート買ってきたよ、って笑う。ナイトは、興味津々な顔をして袋を覗き込む。そして、おいしそうだね、早く食べよう、って言ってくれるのを想像した。ナイトが喜ぶ顔を見られるのを当たり前に思っていた。
リイコは何気なく袋をあけ、買ってきたデザートを取り出した。ナイトに買ってきた分をテーブルに置き、自分の分をあける。口を重々しくあけ、それを一口食べた。
--- おいしいな、リイコ!
ナイトの笑った顔が思い浮かんだ。
「うっ……うぅっ……」
リイコは、こみ上げてくる涙を抑えることが出来ず、口にしたスプーンを噛んだまま嗚咽をもらした。
「ナイト……ナイトぉ……」
--- なんで、そんなに悲しいの?
そう言って慰めてくれたナイトは、もう居ない。リイコは、静まり返ったリビングで泣き続けた。息が苦しくなるほど泣いて、床には何粒も涙が零れ落ちた。
--- 私、もう一人ぼっちなんだ……。
拭っても拭っても、涙は止まらない。
声を上げて泣いて、胸の痛みを堪えて、息苦しさを飲み込んだ。
--- 俺は、リイコのためだけに存在してるんだ。だから、ずっと傍にいるよ。
ナイト……。
ナイトはそれで、幸せだった?
私のために存在して、私のために傷ついて、私のために自分を犠牲にして。
私がナイトを苦しめてなかった?
こうなるって分かってて、ナイトに「傍に居て」なんて言って……苦しめてなかった?
ナイト……ごめんね?
助けてあげられなくて、ごめんね……?
今度は、私がナイトのために存在したい。
ねえ、だから……わがまま言っていいよ?
だってナイトは、私のわがまま聞いてくれた。
優しい嘘も、ついてくれた。
本当は、嘘をつく方だって、辛かったよね?
私、分かったの。
ナイトへの気持ちが分かったとき、本当の「好き」って、こんなにも深いものなんだ、って。
ずっと、傍に居てほしかった。
ずっと、その笑顔を見ていたかった。
暖かい手で、包み込んでいて欲しかった。
ナイトの笑顔を見るだけで、私は幸せだった。
とても愛しかったの。
ごめんね、ナイト……。
私、きっとあなたを思い出したら、こうやって涙が止まらなくなる。
私はナイトを……誰よりも好きになったから。
ずっと……これからも、胸が痛くなるほど大好きだから。
悲しい涙は辛いけれど、でもナイトのせいじゃないからね。
ナイトの声を聞きたい……。
ナイトの笑顔を見たい……。
そう思うと、涙が止まらないの。
私、愛してるよ。
ずっとずっと……愛してるよ。
だけど今は、苦しくて悲しくて……抑えられない。
涙を抑えられないよ……。
ドラマの原作ですか??
ドラマは時々観てます*^^*
by Liddell (2008-05-17 16:39)
Liddellさん>
niceとコメントありがとうございます!
ドラマ、私は録画したのを早送りで見ましたが。。。絶っっ対、原作の方がお勧めです!!!!漫画ならではの面白さもあるし、ナイトは、もっとすごいです。ドラマのようにリアルにヘッポコではないです。なにより、このノリで来て最終回になったら、もう1巻を読んでも泣けるぐらいです。ドラマと原作は別物と思ったほうがいいくらい全然違いますよ。
by 京奈 (2008-05-18 01:19)
るうさん>
niceありがとうございます!また遊びに行きますね♪
by 京奈 (2008-05-18 01:20)
rararinndouさん>
niceありがとうございます。
by 京奈 (2008-05-19 22:48)
わかださん>
niceありがとうございます。
by 京奈 (2008-08-12 22:48)